第1回 ランチア デルタ


第1回は、やはりランチアデルタを取り上げたいと思います。今更スペックやヒストリーの説明は必要のないことだと思いますので省略します。私とデルタの腐れ縁はナビシートから始まりました。そのころ私はセリカGT-Four(ST165型)に乗っていたのですが、今でも鮮烈に覚えているのは、雨の日に交差点で「こんなスピードでは絶対曲がれない!」と思ったナビシートの私とは別世界の人のように、ドライバーの方が涼しい顔で何事もないように曲がっていった事です。当時のライバル、ギャランVR-4や初代レガシーなどから比べれば、画期的な回頭性の良さでした。その頃、ガレーヂ伊太利屋の仕事もしていたことで、多少安くしていただけることもあって、上記の事件から2年後に新車でデルタを購入しました!(新車は後にも先にもこれが最後)今思えば恐ろしいことをしていたと思いますが、毎月10万円オーバーの支払いで給料の大半はローンに消えました・・・。そのデルタとは約3年ほど共に暮らしたのですが、ある日「ビバリーヒルズコップ」を観て無性にフェラーリが欲しくなり、フェラーリの頭金に化けてしまいました・・・。ホント、馬鹿なことをしてました。
その後、デルタ熱も冷めていたのですが、数年後、今の赤い16 Vと出逢いました。Tipo誌の記事にもあったとおり、最初は脚がもげて自走も出来ない状態でした。話は逸れますが、私の場合良い車というのは概ね、初対面で車の方が話しかけてくるような気がします。それは綺麗とか汚いとかではなくインスピレーションのようなもので巧く説明出来ませんが、経験上話しかけて来てくれたような車とは仲良く暮らしていけました。ですので私自身が乗るつもりで購入した車は事故車かどうかなどほとんど調べたことなど有りません。いちおう試乗もしますが、まっすぐ走り、ちゃんと曲がって、止まってが出来ればまず購入してしまいます。お客さんの車はそういう訳にはいきませんが。
人と同じように自分が愛せそうなら過去に何があったかなんてあまり意味がないような気がするのですが・・・。赤い16Vも例に漏れず非常に当たりの個体だと思っています。解体屋に行く予定だったデルタからの恩返しなのか、手を掛ければ掛けてやるほどに応えてくれました。まさかレースなどで勝てるような車になるとは思いませんでしたけどね。

修理屋から診たデルタはハッキリ言って整備性などの面から見れば最悪でしょう。修理屋仲間からも「よくあんな車さわってるなあ」とよく言われます。でも慣れとは恐ろしい物で流石にHF4WDからEvo2まで毎日のようにデルタを診ていると別に普通に思えます。まあ私の人生を変えたほど思い入れのある車ですので、えこひいきもあると思いますが。

故障に関しても雑誌などで書かれるほどは手は掛からないと思います(個体差はありますが)。タイミングベルトに関しても私のところでは切れた車など有りません。10万Kmを超えている車も何台かありますが、みなさん普通に毎日お使いです。国産車などから比べれば手は掛かりますがそれを補っても非常に魅力(魔力?)あまりある車だと思います。それが証拠に私のところではデルタを手放した方はおられません。デルタからデルタへの乗り換えはありますが、事故で全損された方もまたデルタを購入されています。
どんな車でもそうでしょうが、愛情を持って接してやれば、必ず応えてくれるはずです(たぶん)!