デルタ インジェクター考察

装着したデルタオーナーのほぼ100%で好評いただいているインジェクターキット

ランチアデルタのインジェクターは、30年近く交換なしの車両も多く、経年劣化やカーボンスラッジの堆積で目詰まりを起こしている個体も少なくない。取り付け直後からニンマリ。は当然と言えば当然である。

発売開始から約1年が経過し、ありがたいことにエアコンコンデンサーに次ぐヒット商品になりつつある。結構な頻度でお問合せもいただくので、忘れない内に純正比較や選定の経緯をブログに残しておこうと思う。

キットのインジェクターは12穴

キモになるのは、この多孔ノズル。通販番組や美容室で流行っているナノファインバブルのように、きめの細かい霧を吹く。
霧化特性が良いと燃焼に良いのは言うまでもなく、気化熱で吸気温度が下がるうえに、多少濃いめの空燃比でも燃焼できる。
しかも、デルタのインテークポートにちょうどいい角度で二股?噴射するタイプを探してきて、何回もテストしながらキットに使うインジェクターを選んだ。

おそらく、今後の技術開発ではガソリンエンジンも直噴・高圧タイプになるので、デルタにはこの世代のタイプがベストマッチだと思う。

純正インジェクターノズル

わかりやすい?シンプルなシングルノズル
走行距離は5万km。割と少なめのエボ2から外した純正インジェクターだが、ご覧の通り黒い汚れがべったりと。
BOSCH製の80年代ターボカーに定番のタイプ。調べてみるとポルシェ純正部品やレース仕様の車両には、特性と吐出量ばらつきの少ない選りすぐったものを納品・組付けしていたらしい。

外したインジェクターには、超音波洗浄後でも2桁%の吐出量ばらつきがありました。
FIATエンジン(ランプレディユニット)なので?くたびれ・汚れだけではない当時の工作精度・ゆるい公差が起因しているようです。

一目瞭然の新旧比較動画

既に装着しているオーナーの過半数が『コレを見て購入を決めた。』という動画

拘ったのは、ノーマルデルタにポン付け

「ポン付けで簡単に、気を遣わずに気持ち良く」
しかもいつでも戻せるように、純正カプラーオンで装着できるキットにしてある。

この手のパーツに興味を示すのは、やはりというかサーキット派だったりする笑
案の定、色々なメーカー・容量・世代のインジェクターを使っていたし、ウチでスペアの在庫を持つようになっていた。

思い起こせば、西院にあった頃から増量インジェクターやROM書換え等の対応をしており、高風量タービンなどビッグパワーを使いこなすのは、MoTeCなどフルコンを搭載したり本格的なセッティングを施したサーキット仕様のデルタがほとんどだった。

自分がデルタを気持ちよく乗るために

果たして、ノーマルタービン・純正ECU+マップ・純正の吸排気システムのまま乗っている現存デルタは日本に何台あるのだろう?
鍛造ピストン・コンロッドやチューニングROMなどを販売していながら愚問ではあるが、ウチに来る常連(様)デルタのほとんどがEVCや(勿論触媒つきの)ストレートマフラーなど、何らかのパワーアップモディファイをしている。

個人的には、色々な面から街乗りのデルタには、300馬力もいらないと思う。

たまたま、フルノーマルで綺麗に乗ると決めていたエボ2があったので、候補インジェクターにおよその目星がついたタイミングで、実験台を兼ねて自分のデルタでテストを開始した。
構想から1年以上かけてからのテストであり、全域でトルクが上乗せされたような効果が体感できて思わずニンマリであった。

インジェクターキットの発売にあたり

よく、「そのインジェクターは何ccですか?」という質問をいただく。
〇〇製●●●ccインジェクターと言っても、ある一定の条件で(しかも各社ばらばら)スペックを表記しているので、実は吐出量表記がアテにならないことがよく分かった。

多孔インジェクターだと霧化特性がよくなり、少し濃いめでも燃焼できるので、純正インジェクターの約10%増し、240~250馬力+αの余裕があるタイプを選んで製品化した。
実は、軽めのブーストアップ仕様に最適なサイズのインジェクターなのである。

元々の純正マップが濃いめなので、(攻めた燃調の)マージンを削ったチューニングROMに交換したまま、インジェクターキットに変えてブーストを上げると不足する領域があるようだ。(イタリア輸入品など色々なタイプがあるので、逆に濃すぎることもある。)

40年以上経過した今どきのテクノロジーで作られたものを選んだので、霧化特性が劇的に向上し、低回転からの全域トルクアップや燃費向上・環境性能の向上など、まさにいいことづくめであるが、万能かと言えばそうでもない。

今のところ、エンジンやタービンのブローといったトラブルはないが、色々な高機能パーツを取りつけていたり、純正センサーや補器類に劣化や不具合があるとマッチングが取れない。というか、元からある不具合までは直せないので切り分けが難しい。

実際、旧世代インジェクターと最新世代では、想定している燃圧も過渡特性も異なる。
ハイレスポンスタービン装着時の対策としては、新しめのEVCでゲインをさげたり、回転域ごとの設定ブースト値を抑えめに変える事。老体に無理をさせないことだ。

理想的には、A/F計をつけて燃調マッチングの良しあしを見て欲しい。排気温度計でドキドキしながら燃調の具合を見張る時代は終わっている。
ともあれ、確実に点火できるよう、点火にも最新世代のものを使ったシステムの商品化を企画中。。。

ハイフロータービン・サーキット仕様の方へ

売っている一方で、難しい事を書いてしまったが、300馬力やそれ以上のパワーを目指すデルタ向けのキットや、個別対応にもデータや在庫の用意があるので、来店いただくか、遠方の方は経験豊富なショップにセッティングを含めて相談されることを切に願う。

インジェクターキット販売開始!

最新世代のマルチホールインジェクターを採用

テストを重ね、吐出量とスプレーパターンを吟味し選定
※比較動画_Corsomarche Facebook ページ

すでに数十台のデルタに装着し、オーナーの評価・効果を確認して発売を決定

全ての方から、・デルタが軽くなった!・トルクが上がった!・滑らかになった!・レスポンスが向上した!・燃費が向上した!等々の報告をいただいております。インジェクターキットは無加工で交換出来るようセットしてありますので、純正に戻すことももちろん可能です。

環境性能も向上

排気ガステスターで車検時にも計測されるCO値(一酸化炭素)とHC値(炭化水素)を測定してみたところ、予想以上の改善となる結果となりました!

CO 1.79%  →  0.72%
HC 140ppm → 90ppm

【お知らせ】
2020年4月:ファクトリーにインジェクターテスターを導入し、吐出量レベリングとリークテストを実施してから出荷します。

 

エンジンドレンボルト

ツバつきエンジンドレンボルト
純正エンジンドレンボルト(画像右)にはツバが無くテーパーになっており、締め込み過ぎなどで締め付けが出来なくなるデルタが見受けられます。コチラのドレンボルトは無加工で交換が出来、ツバ付きでアルミワッシャーも付属しておりますので適正に締め込むことが出来ます。

オリジナルパーツエンジンドレンボルト」ページよりご確認ください。

ツバ付きドレンボルト

 

チューニングROM

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ノーマルマップをマージンを残しつつ見直し、点火時期、噴射時間、過給圧設定などを変更し、手軽にトルク、パワーアップを実現します。

チューニングROMは、16V、Evo1、Evo2用それぞれご用意しています。

オリジナルパーツ「チューニングROM」ページよりご確認ください。

チューニングROM

 

アルミラジエーター

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冷却効率のアップはもちろん純正品との比較で約2Kgの軽量化にもなり、フロントヘビーなデルタのオーバーハング重量を、少しでも減らすことができます。冷却水容量も純正品と比較し、約200cc(10%)ほどアップしております。サイズは純正同等としそのまま交換可能です。

スタンダードは2層コアを使用し、厚みやサイズを純正同等としておりますが、サーキット向けには3層化や形状変更なども可能です。ご相談ください。

オリジナルパーツ「アルミラジエーター」よりご確認ください。

アルミラジエーター

 

ローテンプサーモスタット

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サーモスタットケースの内部を見直し、流動抵抗を軽減することで、効率よく冷却水をラジエーター送り込みます。サーモスタットもローテンプ化することで、水温上昇を抑える事が出来ます。交換後はフランジだけの脱着で、サーモスタットのみの交換が出来ます。

サーモスタットの開弁温度設定は、76.5℃、82℃からお選びいただけます。